2017/06/15

最近、躁状態のケがある。力がみなぎり、気分も良い。夫よりも早く起床して家事を全てこなし、買い出しまで済ませた。これでもう夫は今日一日やることがない。せいぜい夕食の支度と浴槽に湯をためることだけだ。

夫が起床したのは11時半だった。専業主夫なのに甘ったれていると思った人もいるだろう。本当のことを言うと、夫が起きてこないように目覚ましのアラームを切っておいたからだ。夫は家事をする以外の趣味がない。なので手持ち無沙汰な時、何をするのか見てみたかったのだ。

結果は実に面白くないものだった。夫は大掃除を始めてしまった。フローリングのワックスがけ、洗濯槽のカビ取り、窓の拭き掃除、目線より高いところのホコリ取り、換気扇に付着した油汚れの除去……

私がなんだか居心地が悪くなり、家のすぐ前にある公園で夫の大掃除が終わるのを待つことにした。公園では子供が数人駆け回っていた。子供の邪魔をするまいと、公園の一番目立たないところにある鉄棒でさかあがりをしていた。

無意味にくるくる回転して遊んでいると、足音が聞こえた。鉄棒に丸まって引っ付いたまま足音がした方を見た。少年が一人。さかあがり教えてよ、と言った。暇だったので付き合うことにした。もうすぐ体育の授業でテストがあるらしい、そしてお察しのとおり彼はさかあがりが出来ない。

とりあえず彼のさかあがりの完成度を知りたかったので、回ってもらうことにした。肘を曲げて鉄棒を握り締め、勢いをつけて飛び跳ね……

飛び跳ね……

飛び跳ね……たが、上手くいかずドスンという音を立てて足から落ちた。

いてぇよ…いてぇよ…と呻きながら地面を転がり回っている彼に大丈夫かと声をかけた。今日は痛い思いしたからもう帰る、また会ったら今度こそ教えてくれよな。そう言って彼は公園から走って出て行った。なんだったのか。

家に帰ると頬に油汚れを付着させた夫が私を迎えた。夫に顔を洗うよう伝えた後に、君はさかあがりができるかと問うた。出来ますが、と返ってきた。

私は夫を公園に連れ出し、鉄棒の前に立たせた。夫は少し困り眉のまま微笑んだ。やってみてと告げると、彼は鉄棒を握り締め、地面を蹴った。砂が私の口をめがけて少し飛んできた。3回転してようやく夫は地に足を付けた。

どんなもんですと少し自慢げな笑みを浮かべる夫に、すみませんでしたと謝罪をした。私は運動が嫌いだ。身体が頭についてこないからいらいらしてくる。しかし今日の私は運動に感謝せねばならない。夫はアルカイックスマイル以外の表情をすることもできる、ということを教えてくれたから。