2017/06/14

病院にTELした。誰も出ない。診察券をよくよく見てみると、今日は休診日だった。薬が今晩の分で切れてしまう。大変だ。だがそれも仕方ない。

薬が切れてしまうという事実を忘れようと、図書館で借りた退屈な本を開いた。ちょうど開いた260ページ目の余白に、びっちりとメモ書きがされていた。

パモ酸ヒドロキシジン・アタラックスP

ロラゼパムワイパックス

ジアゼパムセルシン

クロルジアゼポキシド・コントール、バランス

アルプラゾラム・コンスタン

オキサゾラム・セレナール

トフィソパム・グランダキシン

リーゼ・クロチアゼパム

私よりもずっと前にこの本を借りた人物の処方箋だろうか?おまけに260ページの文章中にも何箇所か印が付いている。リスロンSの名に丸がうってあったり、フルトプラゼパムの横に黒丸が付いていたり、デパスの横に『セデコパン』と書いてある。いい加減にしろ。これはお前の私物ではない。イライラしてきたので本を閉じた。

気分転換に家の中をうろついていると、包丁がまな板を叩く音が聞こえた。夫が何かを刻んでいる。夫は私の前で食事をしたことがあまりない。ストローを挿したコップでジュースを飲むばかりで、固形物を食べているところをほとんど見たことがない。夫が普段何を食べているのか、その疑問の誘惑に負け、夫の背後に忍び寄った。

そっと覗き込むと、夫が刻んでいたのはセロリだった。その横にはプレーンヨーグルトが置かれている。すると突然夫が振り向き、お互い驚いた顔をしてしまった。夫はとっさに背後にそのセロリとヨーグルトの混合物を隠した。

夫がぎこちない微笑みを浮かべながら首を傾げている。大変悪いことをした気になって、好奇心に負けたことを素直に伝えた。

夫はセロリとヨーグルトの混合物に塩をパラパラ振り入れながら、僕だって食べないと死んでしまいます。と、呟いた。夫の作っていたヨーグルトの混合物は、個人的にあまり美味しいものではなかった。なので夫が少なめにひと匙すくっては口に含むのを、私はじっと見ていた。彼の所作は美しい。グリースであげていた前髪が少し落ちて顔にかかっているのを、大変にいやらしい目で見つめていた。結局、夫は作った混合物を全ては食べきれなかった。

この残り、今夜のおかずとして出していいですかと聞かれたのでやめてほしいとだけ伝えておいた。