2017/06/11

あなたを愛しています。

私はよくそう言った。わりと誰にでも言った。そんなこと微塵も思っていなくとも言った。それには言葉にならない不安感か深く関係している。私は強い不安感に襲われることが多々ある。私は常に不安感があるが、強い不安感に襲われると本当に耐えがたい瞬間がある。命を絶つ勢いの逃避行動に出てしまったこともある。

近頃は夫が傍にいるのでそれほどの逃避行動には出なくなったが、それでも夫の背骨が鳴る音がするくらい彼を抱きしめる日もある。そして、愛していると告げる。私は愛しているという言葉が好きだ。手軽に安心感を得られるから。私は愛しているという言葉が嫌いだ。不安感に白旗を上げているということを実感するから。

誰か有名な人物も、不安になると愛を語ってしまうと言っていた。いつでも私は誰かの傍においてほしいと強く願っている。なので肯定もしないが否定もしない、ただ微笑んで私を待っているだけの夫を選んだ。初めて自分の語る愛が本物になった気がした。

私は夫を愛している自分が嫌いだ。己の意見を述べない人形しか愛せなかった自分が嫌いだ。私は夫を愛している自分が好きだ。己の意見を述べない人形と化すことで精神に世界との断絶の壁を築いた人間に選ばれた、この世でただ一人の、唯一の人間であることを実感できるから。